2009年7月17日金曜日
二重被爆
『大広島炎え轟きし朝明けて川流れ来る人間筏』
『黒き雨また降るなかれにんげんがしあわせ祈るための蒼穹(あおぞら)』
山口雀陵(じゃくりょう)
この短歌の歌人、山口雀陵さんこと山口彊(つとむ)さんが「ヒロシマ・ナガサキ 二重被爆」(朝日文庫)を出版された。「生かされている命」(講談社)の文庫化です。
朝日新聞記事
私が山口さんの存在を知ったのは2006年の夏のこと。国連とコロンビア大学でドキュメンタリー映画『二重被爆』を上映すると日系新聞で知った事がきっかけでした。残念ながら2度の上映には参加できませんでしたが、二重被爆ということを知って調べるようになりました。
二重被爆者とは、ヒロシマとナガサキで被爆した人たちのことです。山口さんは今年2009年3月24日、「二重被爆者」として被爆手帳に長崎市の記載が付け加えられました。国が認めた二重被爆者として初めての人となりました。
90歳を過ぎて初めてパスポートを申請してニューヨークを訪問した山口さんは今、93歳。ニューヨークの国連での上映後にこう話されたそうです。
【日本のことわざでは『二度あることは三度ある』と言います。しかし、絶対に三度目の被爆があってはならない。私は90歳です。いつまで生きられるかわかりませんが、みなさんにどうぞお願いがあります。核兵器をなくすために、みなさんの力を貸してください。戦争になれば、勝ったほうも負けたほうも必ず犠牲者が出る。そして生き残った家族を悲しませることになります。『All for one, one for all.(みながひとりのために、ひとりがみなのために)』、このモットーでみなさんにご協力していただきたい。必ず大きな力となって、戦争を回避することができると思います】(『生かされている命』より)
山口さんの思いを私たちがしっかり受け継いでいかねばなりません。