2009年3月16日月曜日

無事、成功に終わった『アトミック・フィールド』



ステージ・リーディング『アトミック・フィールド』、無事終了!とても好評でした。

物語は80年代のある南部の普通の家庭が舞台。肺ガンと診断された夫であり父親は原爆投下6週間後のナガサキへ入った元米兵、その後も約9年半海兵隊に所属。その間、核実験に参加していたことがあり、彼のガンはそれが原因ではないかと家族は驚きを隠せない。父親の秘密が明らかになると共にありふれた普通の家族に変化が起きていく・・・。

初めてこの台本を読んだ時に改めてアトミック・ソルジャーと呼ばれる人たちのことを知り、またヒロシマやナガサキだけでなく、米国にもヒバクシャがいて苦しんでいるということを知るきっかけとなりました。

リーディングは英語で行いましたが日本人の観客も多く参加しれくれました。

参加者の感想をいくつかご紹介します。


新たなアメリカ側からの被爆者の話を知れて大変勉強になりました。(匿名)

これは実話を元にしているのですか?もしそうなら、アメリカ人にも被爆者がいたなんて知らなかったので、とても興味深いです。とてもよく書けた台本だと思いました。俳優さんたちとても上手でした。(匿名)

戦争は誰も幸せにはしない。両者にはそれぞれの痛みがあることなど今日色々学ぶ事ができました。ありがとうございます。(女性:30代)

とても良いお話でした。もっと多くの人に見てもらいたいです。(匿名)

A very moving play. (匿名)

Very moving. Good acting. (匿名)

A good play. Made me think more. Good delivery overall, too. (匿名)

劇中にも触れられていたのが、軍に携った人たちが口外しないことを宣誓させられたということ。このようなヒバクシャたちは、ヒロシマやナガサキの人々のように声を上げて叫ぶ事が出来ずに苦しみ、また病んでいるのではないだろうか?その実態とは?!

勉強する課題の多いテーマの作品でした。

イベントに来てくださる方たちは必ず「これからも頑張って下さい」と励ましの言葉をかけて下さいます。継続する事に意義があり、また続ける事で人は私たちの真剣さを理解してくれるのかもしれないと思えました。

こうして、また小さな種を蒔きました。

2009年3月12日木曜日

伊藤明彦さんの軌跡



とても残念なお知らせが届きました。

『被爆者の声 HP管理人です。 こんにちは。
伊藤明彦さんが、3月3日 午後8時34分、お亡くなりになりました。』

伊藤さんは40年間にわたり全国の被爆者を訪ね取材を続けて被爆者の肉声を収録し、テープやCDに収めて施設や図書館に寄付をしていました。最近はボランティアの協力を得て、録音した肉声を文字に起こし、それをHPにて配信。その功績は昨年、吉川英治文化賞受賞して讃えられています。

『被爆者の声』のHPに出会った私は管理者の了解を得て、昨年10月に行った『Love&Peace:朗読と語り部の会』の中で被爆者の声を朗読という形で伝えましたた。最近の伊藤さんはビデオで被爆者を記録、世界に向けて聞いて欲しいという強い願いから、英語の話せる被爆者を取材していた聞きます。私の父代わりのような被爆者の方もその1人だということも伊藤さんの訃報を聞いて知りました。

私の心が震えるのは、伊藤さんが1970年に長崎放送を退社して自身の人生を被爆者たちの記録に捧げた事。記者という肩書きが無い中、自費で被爆者の取材を続け、その記録を図書館などに寄付するという行為は並大抵のことではありません。資金は昼間日雇いの仕事をして作り、夜に録音機を持って被爆者たちを訪問したのだそうです。

こんな人がこの世の中にいるなんて・・・。

私に出来る事はここニューヨークに住んでいる事を利用すること。伊藤さんの意志を継いで、収録されたビデオをいつか流したいと思います。

伊藤さんは8歳の時に長崎で被爆されていますが、こうやってまた一人、生き証人がこの世を去りました。被爆者の高齢化により、生の声を聞けるチャンスはだんだん少なくなっていきます。

機会があれば是非彼らの話に耳を傾けて欲しい。そして知って欲しい。

63年前の戦争がまだ続いている人たちがいるということを。

伊藤さんのご冥福を心からお祈りいたします。


被爆者の声HP
http://www.geocities.jp/s20hibaku/

伊藤さんの訃報と業績を伝える長崎放送
http://www2.nbc-nagasaki.co.jp/houdou/index.php?itemid=7034